カルシウムが子のうつ防ぐ 妊娠中摂取で

カルシウムが子のうつ防ぐ 妊娠中摂取で

2025.08.26

妊娠中にカルシウムを多く取るほど、生まれた子どもにうつ症状が現れるリスクが下がるとの研究結果を、愛媛大などのチームが22日までに国際学術誌に発表した。カルシウムがうつに予防的という報告はこれまでにあるが、妊婦と子の関連を調べた研究は初という。チームは「妊娠中の食生活が子どもの精神面に影響を与えることを示した」としている。

 研究は、三宅吉博(みやけ・よしひろ)・愛媛大教授らが九州・沖縄7県の母子を調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用。このうち子どもが13歳時の追跡調査に参加した873組の母子を対象とした。妊婦のカルシウム摂取量は、個人の食事内容を調べる調査票に基づき、サプリメント類などを除いて算出した。

 13歳の子どものうつ症状は「CES―D」と呼ばれるうつ病の症状の程度を自己評価で点数化するテストで測定。合計60点のうち、16点以上がうつ症状と定義した。

 チームは妊娠中のカルシウム摂取量が少ない人から並べ、4グループに分けて解析。最も少ないグループではうつ症状の子どもの割合が28%だったのに対し、最も多いと18・7%だった。発症リスクを比べると42%下がったという。

 最大グループの摂取量は中央値で1日当たり約675ミリグラムで、18~29歳の女性に対する推奨量とほぼ一致していた。

 三宅教授は「母親が摂取したカルシウムが、子どもの感情部分に影響を与えているのでは」と分析。解明にはさらなる調査が必要になるとした上で「子どものうつ症状の発症要因について、一つの根拠を示すことができた」としている。

 注)国際学術誌は「Journal of Phychiatric Research」電子版

2025年8月25日 (月)配信共同通信社